【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「……いえ」
「そうか。それはな、『豊穣の巫女』を手厚く保護すること。生活を保障すること。そういうことじゃ」

 ……それは、私も知っていること。そのうえで、国はその約束を守って……いる、はずだったのだ。

(違う。例外が、ある……)

 気が付いてしまった。彼女が怒っている理由も、今回土の魔力が枯渇した理由も。

 全部、全部わかってしまった。

「わしらだって、依り代が手厚い保護を受けていないと、辛いからのぉ」

 ころころと笑う女神さま。……あぁ、そうだ。

「――のぉ、シェリルよ。おぬしの扱い、わしの怒りに触れたのじゃぞ」

 さも当然のように女神さまが私の名前を呼ぶ。

 喉が渇いていく。口からは言葉が出ない。ただ、揺れる目で彼女を見つめ続けることしか出来ない。

「せめておぬしが十八になるまでは、一応我慢しておいてやろうと思ったのじゃ。……だが、現実はどうじゃ?」
「……なにも、変わってない」

 私が『豊穣の巫女』の認定を国から受け、手厚く保護されるようになったのは十八歳を超えてからだ。

 旦那様曰く、魔力の枯渇が始まったのはそれから少し前のこと。……辻褄が合う。

「それに、人間どもはバカだ。……今更手厚く保護して、してやった気になっているのだからな」

 唇を噛んだ。だって、彼女の言うことは――すべて、正しいのだから。

「だから、わしは助けんよ。……この国が滅びれば、わしはこの土地から解放され、自由に生きることが可能となる」
「……」
「そこでまた、別のことでもしようぞ」

 まるで今日の夕食を決めるかのような。そんな軽い口調だった。

「……愚かな人間どもめ」

 それは彼女の本当の気持ちだったんだろう。声音からひしひしと伝わってくる感情。
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