【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「初めはシェリルのことを『可哀想』だと思っていた。だから、屋敷への滞在を許可したんだ」
「……知ってます」
「いずれはもっといい場所への縁をつなぐつもりだった。……だが、どうしてだろうな。手放したくない、側にいてほしいと思うようになった」

 まっすぐに見つめられて、真剣な声でそう告げられて。心臓がうるさくならないわけがない。

 私は無性に照れ臭くて、視線を下げた。

「……俺は、甘えていたんだ」
「旦那様?」
「アネットが急に荒れた理由を、俺は探ろうともしなかった。……そして、ただ一方的に傷ついた。それを言い訳にして、女を寄せ付けなかった」

 何処か後悔を感じさせるような声に、こっちまで苦しくなってしまう。

「きっと、シェリルに出逢えなかったら。俺はずっとあのままだった。……ありがとう」
「旦那様……」
「結婚してくれて礼を言うのは、俺のほうだ。……シェリル」

 旦那様の手が、私の手に重なる。ぎゅっと握って、指を絡められて。普段の彼らしくない積極的な行動に、ドキドキとする。

「――愛している。今後も、どうかずっと一緒にいてくれ」

 はっきりと告げられた愛の言葉。

 一瞬だけ私は自分の耳を疑う。その後、頬を伝うのは温かな涙だった。

「……シェリル?」
「――そんなの、当たり前じゃないですか」

 そう。私が旦那様の側にいるのは当たり前のことで、彼が私を嫌いになっても離れてやらないと思っている。

「旦那様が私を嫌いになろうとも、愛想を尽かそうとも。私は、あなたの側から離れない」
「……そうか」
「絶対、絶対、離れませんから!」

 そう言って抱き着いたのは、私自身の意思の強さを教え込むためだったんだろうと、後から思う。

 彼の顔を見上げて、何度も「離れません」と繰り返す私を、彼にはどう見えたのか。それは、わからない。

 ただ、彼が笑って告げてくださった言葉を、私は一生忘れないのだろう。

「――俺も誓う。シェリルの側を離れない。そして、なによりも。――シェリルと今後の人生を、ずっと歩んでいくと」
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