【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「旦那様ー!」

 クレアが、遠慮なく旦那様の執務室の扉を開けた。執務室の中には、何か手紙のようなものを真剣に読まれる旦那様がいらっしゃる。

 でも、私とクレアが何の前触れもなく訪れたためか、驚いて顔を上げられた。かと思えば、手元の手紙を慌ててしまわれる。

「しぇ、シェリルとクレア……? なにか、あったのか……?」

 彼の声は、ほんの少しの焦りを含んでいた。……私に、隠し事をされているのは間違いないということなのだろう。

(信じたいけれど。……やっぱり、浮気されているの?)

 もしかして、先ほどのお手紙は浮気相手からのお手紙じゃあ――と、一瞬思ってしまう。けれど、私はその考えを振り払おうとしてぶんぶんと首を横に振る。

「どうした? いきなり、ノックもなしに部屋を開けて。俺しかいなかったからよかったが、来客中だったら――」
「旦那様ー!」
「うわっ」

 クレアが旦那様に飛びついていく。それを、旦那様は軽々と受け止められていた。

「浮気なんて、許しませんからね!」
「ちょ、うわ、き……?」

 旦那様が、恐る恐ると言った風に私のことを見つめる。……私の頬に伝う、温かい何か。

(やっぱり、体調が悪いと心も不安になってしまうんだわ……)

 それを、嫌というほど再認識する。だって、私――これくらいで、泣いてしまうなんて、想像していなかったのだもの。
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