【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
それからしばらく旦那様とクレアの言い争いを聞いていると、不意に「何をしているんですか」と背後から声が聞こえてきた。
この声は、サイラスだ。
「あっ、サイラスさん! 実は、旦那様が浮気されていて……」
「していないって言ってるだろ!」
「……話を聞きましょうか」
サイラスが一瞬にして真面目な表情になる。その眉間には確かにしわが寄っており、何となく怒っているのは伝わってきた。
しかも、その声は地を這うように低い。……サイラスも、怒ってくれているのだ。
「で、浮気相手はどちら様ですか?」
「だからなぁ……」
もう、旦那様は呆れてしまわれたらしい。執務用の椅子に腰を下ろされると、額を押さえてしまわれた。
「俺は、神に誓って浮気なんてしていない。……俺が愛するのはシェリルだけだ。……これでも、信じてもらえないのか?」
「大体、口では何とでも言えますからね」
「サイラス。せめて、お前くらいは俺の味方をしてくれ……」
疲れ果てたような旦那様は、ある意味哀れだ。……それに、こんなにも否定されるということは、多分私の思い違い……だと、思いたい。バレるのが怖くて否定されているのならば、クレアが許さないだろうし……。
「……とまぁ、茶番は置いておきましょうか。クレア、旦那様は浮気なんてされていませんよ」
それからしばらくして、ふとサイラスがそう声を発する。それに驚いて私が顔を上げれば、サイラスは笑っていた。優しそうに、ふんわりと。
「……えぇっ!」
「ちょっと領地のことで、奥様に隠し事をされていたのは、認めましょう。ですが、今の旦那様に浮気するような時間はありませんから」
「……そう、なの?」
そう声を上げたのは、私だった。
目をぱちぱちと瞬かせてそう問いかければ、サイラスはこくんと首を縦に振る。……信じても、いいのよね?
「でも、領地のことだったら、私も――」
私の口は、自然とそんな言葉を発してしまった。領地のことだったら、私も力になりたい。私は、心の底からそう思っている。だけど、サイラスはゆるゆると首を横に振るだけだった。
この声は、サイラスだ。
「あっ、サイラスさん! 実は、旦那様が浮気されていて……」
「していないって言ってるだろ!」
「……話を聞きましょうか」
サイラスが一瞬にして真面目な表情になる。その眉間には確かにしわが寄っており、何となく怒っているのは伝わってきた。
しかも、その声は地を這うように低い。……サイラスも、怒ってくれているのだ。
「で、浮気相手はどちら様ですか?」
「だからなぁ……」
もう、旦那様は呆れてしまわれたらしい。執務用の椅子に腰を下ろされると、額を押さえてしまわれた。
「俺は、神に誓って浮気なんてしていない。……俺が愛するのはシェリルだけだ。……これでも、信じてもらえないのか?」
「大体、口では何とでも言えますからね」
「サイラス。せめて、お前くらいは俺の味方をしてくれ……」
疲れ果てたような旦那様は、ある意味哀れだ。……それに、こんなにも否定されるということは、多分私の思い違い……だと、思いたい。バレるのが怖くて否定されているのならば、クレアが許さないだろうし……。
「……とまぁ、茶番は置いておきましょうか。クレア、旦那様は浮気なんてされていませんよ」
それからしばらくして、ふとサイラスがそう声を発する。それに驚いて私が顔を上げれば、サイラスは笑っていた。優しそうに、ふんわりと。
「……えぇっ!」
「ちょっと領地のことで、奥様に隠し事をされていたのは、認めましょう。ですが、今の旦那様に浮気するような時間はありませんから」
「……そう、なの?」
そう声を上げたのは、私だった。
目をぱちぱちと瞬かせてそう問いかければ、サイラスはこくんと首を縦に振る。……信じても、いいのよね?
「でも、領地のことだったら、私も――」
私の口は、自然とそんな言葉を発してしまった。領地のことだったら、私も力になりたい。私は、心の底からそう思っている。だけど、サイラスはゆるゆると首を横に振るだけだった。