【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
 ここ数日。アネット様は度々お屋敷にやってこられているらしい。もちろん使用人たちが追い出してくれているものの、彼女はしつこいと。

 ……だから、なのかもしれない。

 私は、もしかしたらアネット様にも事情があるのかも……と、思い始めてしまっていた。

(アネット様と真正面からお話がしたいというのは、贅沢なことなのかしら……?)

 誰に言っても止められるのは目に見えていた。でも、胸の中にあるモヤモヤを解消したくて。私は、目を瞑る。

「……奥様?」

 マリンが、そう声をかけてきた。

 だから、私は目を開ける。クレアとマリンにならば、言ってもいいかもしれない。

 心の中で、誰かが囁いた。

「……あのね、クレア、マリン。一つ、相談があるの」

 真剣な眼差しで二人を見つめて、そんな言葉を口にする。そうすれば、二人が顔を見合わせた。

 だけど、すぐににっこりと笑ってくれる。なので、私は口を開く。

「アネット様と、一度お話ししたいと思っているの」
「……え」

 けど、私のその言葉を聞いた二人の表情が一瞬で曇る。

 もしかしたら、旦那様にそれは止められているのかもしれない。今更ながらに、その可能性に気が付いた。

「……アネット様にも、もしかしたらなにか事情があるのかも、と思って」

 肩をすくめて、今にも消え入りそうなほど小さな声で言葉を紡ぐ。

 クレアとマリンだから、怒りはしないだろう。いや、このリスター家の使用人たちは、誰も怒りはしない。……怒るのは、私が勝手に突っ走ったとき。もしくは危険なことをしようとしたときだけだから。
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