【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
(ううん、もしかしたらこれは危険なことなのかも……)

 アネット様と真正面からお話しする。それは、一体何が起こるのか。それはこれっぽっちも想像できないことだから。

「奥様」

 クレアがそう声を上げる。なんだか彼女の声が震えているようにも聞こえてしまう。

 ごくりと、息を呑んだ。

「私たちは、何とも言えません」

 ……そりゃそうだ。

「……サイラスさんに、一度ご相談するのはいかがでしょうか?」

 マリンが、そう続ける。

 だけど、サイラスが許可をくれるとは思えなかった。……なんていうか、サイラスは私に過保護だし……。

「許可を、もらえると思う?」

 そっと静かにそう問いかけてみる。二人は、もう一度顔を見合わせて微妙な表情をしていた。

「それは……まぁ、そうですね」
「でも、一度お伝えしてみるのもいいかもしれません」

 二人がそう言ってくれた。

(確かに、一度お願いしてみるのも、いいかもしれないわ……)

 サイラスはアネット様を毛嫌いしているけれど、私の意見を無下にするような人じゃない。

 そりゃあ、アネット様が何かを起こす可能性だってゼロじゃない。……だけど、私は思うのだ。

 ――アネット様は、エリカと似たような雰囲気だと。

(なんていうか、何かに怯えている、ような……?)

 それは少し違うのかもしれないけれど。怯えている……というか、逃げている?

(うーん。上手く言葉にできないわね……)

 まぁ、とにかく。アネット様と一度しっかりとお話がしたい。私は、そう思っていた。
< 60 / 156 >

この作品をシェア

pagetop