【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
(サイラスたちも、みんな心配してくれているのだもの。そう思うのは、当然よね)

 心の中でそう零し、私はサイラスの目をまっすぐに見つめる。

 ごくりと息を呑んで、私はお願いを口にする。

「……アネット様の、ことなの」

 その名前を口にした瞬間、サイラスの眉間にしわが寄った。

「まさかですが、あの女、奥様に危害を……!」
「ち、違う! 違う違う!」

 どうしてそういう風に捉えるのだろうか?

 一瞬そう思ったけれど、サイラスは心配性だ。だから、仕方がないのかも……なんて。

「では、どういうお願いでしょうか?」

 ごほんと一度だけ咳払いをして、サイラスがそう問いかけてくる。

 なので、私はゆっくりと口を開いた。

「私、アネット様と一度、真剣にお話ししたいと思っているの……」
「……は?」

 サイラスの表情が、一瞬ぽかんとした。でも、すぐに表情を整える。いつもの表情に戻りつつ、サイラスは頭上に疑問符を浮かべているようだった。

「失礼。……一体、どういう風の吹き回しでしょうか?」

 私の目を見て、サイラスがそう問いかけてきた。……なんと、言おうか。

(私の思っていることは、ぼんやりとしているもの……)

 だから、なんていうか。言葉にはし辛いというか……。

 だけど、言わなくちゃ。その一心で、私はサイラスの目を見つめ返す。

「私の、直感のお話なの。……なんていうか、アネット様ってエリカと一緒なのではないかと、思って」

 最後のほうの声は、小さくなった。だって、不確定もいいところだもの。

 サイラスが、私のことをまっすぐに見つめる。その目には、驚きの感情がまだ宿っている。少し、和らいではいるのだけれど。

「アネット様、もしかしたらなにかあるんじゃないかって……」

 膝の上でぎゅっと手を握って、そう言う。……サイラスは、何も言ってくれなかった。
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