【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「……クレアは、どう思います?」

 しばらくして、サイラスが私の後ろに控えるクレアにそう声をかけていた。クレアは、少しだけきょとんとしているように思える。

「えぇっと、私が意見をしていいのかということは、置いておきまして」
「はい」
「私は、奥様の意見を尊重するのがよいかと、思います」

 真剣な声音で、クレアがそう言ってくれた。

「だって、これが奥様のお願いならば、叶えるべきだと思うのです」
「……それが、万が一危険なことだとしても、ですか?」
「そこは、ほら。使用人たちの腕の見せ所と言いますか……」

 しどろもどろなクレアの言葉。でも、私のことを思って言ってくれているということは、とても伝わってくる。

 なので、私はサイラスに向き直った。

「私の自分勝手なお願いだと、わかっているわ。……でも、どうか考えてほしいの」

 背筋を正して、サイラスに向き直る。……サイラスは、しばらくして深くため息をついた。

「はぁぁ。全く、奥様はなんて言いますか……お人好し、ですね」

 呆れたようなサイラスの言葉。私がぽかんとしていれば、サイラスは私の目をまっすぐに見つめ返してきた。

「いいでしょう。……ただし、使用人が付き添うことを条件とします」

 サイラスの言葉に、私は緊張がほどけていくのがわかった。

「……ありがとう」

 そして、お礼の言葉を口にする。頬を緩めれば、サイラスは「ですが」と続けた。

「なにかありましたら、問答無用で追い出しますので。……そこだけは、お忘れなきよう」
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