【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「ギルバート。……あなたは、彼女のことを愛しているの?」

 が、いきなりそう言うのを口にするのはやめていただきたい。

 私がぱちぱちと目を瞬かせて、旦那様を見つめる。……彼は、ぽかんとされていた。

「さっさと答えて。健気な彼女のことを、愛しているの?」

 とんとんと人差し指でテーブルをたたきつつ、追い打ちをかけるアネット様。

 旦那様の回答が気になって、私は彼をじっと見つめた。

 逃げ道を絶たされたと思われたのか。旦那様は「はぁ」と息を吐いて、アネット様を見つめる。

「言っておくが、俺は健気なシェリルが好きなんじゃない。……健気じゃなかったとしても、彼女が好きだ」

 しばらくして、紡がれたお言葉。私の頬に、熱が溜まっていくみたいな感覚だった。

「別にシェリルが健気だからとか、可愛いからとか、若いからとかじゃない。もちろん『豊穣の巫女』だからでもない。……俺は彼女の努力家なところが一番好きだ」

 ……それは、私にとって追撃を連投されているみたいなものだった。

 顔が熱くて熱くて、たまらない。自然と頬を手で押さえていれば、アネット様が声を上げて笑っていた。

「本当、変わったわね。私と婚約していた当時なんて、手も繋げない。プレゼントのセンスもない。ちょっと積極的になってやれば、すぐに慌てふためいて……」
「そう言うのを暴露するのは、やめてくれ……」
「もちろん、愛の言葉を口にすることもなかったわね」

 ……アネット様。多分、それは旦那様の本質です……。

 と言いたくなる気持ちをぐっとこらえて、私は控えめに笑う。内心、彼女の暴露話に同意してしまうのは仕方がないことだと思う。
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