【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
「では、アネット様。……お願いが、あります」
「……えぇ」
「よろしければ、私に魔力のコントロールの方法を、様々な勉強を教えてくださいませんか?」

 彼女はこの量の魔力を容易く扱っている。ロザリアさんも一緒だけど、彼女にばかり負担をかけるわけにはいかないと思った。

「それに、私はまだまだ貴族の女性としては及第点だと思うのです」
「……つまり、私に家庭教師でもしろと?」
「……ダメ、でしょうか?」

 今まで関わってきてわかっているけれど、アネット様はとても優秀な貴族の女性だったのだと思う。

 そんな彼女にいろいろなことを教えてもらえれば……と、思う気持ちもあった。

 あとは、そう、純粋に。

「私、アネット様と親しくなりたいです」

 初めは嫌悪感しかなかったのに。彼女の本質を知るにつれて、嫌悪感は薄れて、消えて。今では好意にも似たものだけが残っている。

「もちろん、無理にとは言いません。もし、よければ、のお話なので……」

 苦笑を浮かべてそう言えば、アネット様は目をぱちぱちと瞬かせる。かと思えば、声を上げて笑い始めた。

「別にいいわよ。私、どうせ暇だし」
「……サイラスにお願いして、お給金は出してもらいます」
「あらあら、本当にお人好しね」

 アネット様はそう言うけれど、労働には対価が必要だと思う。私の、持論だけど。

「いいわよ。……いずれ、奥様とギルバートの子供の家庭教師も務められたらいいわね」
「……それは、その」
「あら、まだ早かったかしら?」

 彼女の言葉に照れてしまった私を見てか、アネット様がころころと笑った。

 本当に、本質はとても素敵な女性なんだって、思う。

「けど、覚悟しなさい。私の教育は厳しいわ。ビシバシ行くわよ」
「……はい!」

 ビシバシなんて、問題ない。だって、サイラスの授業よりも厳しいものはこの世にない……と、勝手に思っているんだもの。

「これから、よろしくね。……奥様」
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