セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
「そんなに嬉しそうな顔をして。志歩さんも大概キスが好きだよね」
「えっ、いや、私はキス自体が特別好きってわけじゃ……悟さんがくれるキスが嬉しいだけで」

 悟と唇を触れ合わせていると、ダイレクトに彼の想いが伝わってくるから好きなのだ。キスを通して感じる悟の気持ちが嬉しくて、志歩もそれを求めてしまう。

 そんな胸の内を語るのは少し照れくさいが、悟とはそんな会話も心地いいから構わない。

 目でも嬉しさを伝えれば、悟は額を押さえて困ったようにため息をつく。

「はあー……本当に僕の心臓を止めにかかっているでしょう。あなたの言葉で、僕がどれだけ一喜一憂しているか、ちゃんと理解してくれないと困る。でないと、また暴走してしまうかもしれないよ」

 プレゼント攻撃を想像して志歩はぞっとする。これ以上は本当に勘弁してほしい。

「プレゼントは本当にもうなしで!」
「ははっ、わかっているよ。志歩さんを困らせるのは本意じゃないからね。僕はただ喜んでほしいだけだから」

 悟はそう言って頭を軽く撫でると、志歩から離れていこうとする。まるでこれ以上は踏み込んではいけないと思っているかのように。

 だが、志歩はまだ物足りない。これで終わってはほしくないと、悟が完全に離れてしまう前に、きゅっと彼の腰に抱きついた。

「じゃあ、もう少しこのままで」

 志歩を喜ばせたいなら、こうして触れ合ってくれればいい。もっと志歩を求めてくれればいいのだ。

 想いが通じ合ってからもう一ヶ月以上が経っている。

 悟はキスより先には進もうとしないが、志歩はもうすべてをさらけ出す覚悟ができているのだ。もっと遠慮なく触れてほしいと思っている。

「っ、はあー……あなたは小悪魔だな。でも、こうやって翻弄されるのは悪くない」

 悟は志歩を抱きしめ返すと、愛の言葉を囁きながら、またキスをくれる。

 やはり深くは触れ合おうとしないものの、悟がくれる言葉もキスも表情もすべて甘くて、志歩の体も心もとろけていく。

 キスだけでこんなにも骨抜きにされているとなると、その先に進んだとき、いったい自分はどうなってしまうのだろう。

 その瞬間を想像して、体が疼き、志歩の中に大きな期待が広がっていく。それはとてつもなく幸せな時間なのだろうと。

 しかし、この先に待ち受けるその触れ合いが、ひどく切ないものになることを、このときの志歩は少しも想像できていなかった。
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