セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~


 ホテルプルモンドの宴会場で開かれているのは、久枝の誕生パーティー。

 招待客はほとんど身内で、かしこまった会ではないとのことで、志歩も招待を受けた。

 身内だけとはいえ、会場はプルモンドの宴会場で、招待客は清塚グループの人間。志歩は着慣れぬドレスに身を包み、随分と緊張してそのパーティーに臨んだ。

 悟に連れられ、招待客と挨拶を交わすたびに、自分におかしなところはないだろうかと不安になる。

 どうやらこのパーティーは志歩の顔見せも兼ねているようで、悟が次から次に志歩を紹介して回るものだから、妻としてちゃんとしなければと変な緊張感を味わった。

 とはいえ、清塚グループの人間は温和な人ばかりで、皆、志歩のことを温かく迎え入れてくれたから、緊張は徐々に解けていった。

 少しずつ肩の力が抜け、談笑できるくらいなごんできた頃、背後から凛とした女性の声が聞こえてきた。

「悟さん」

 悟への呼びかけに、悟と共に志歩も振り返る。そこにはストレートロングの黒髪と、真っ赤な口紅が印象的な美しい女性が立っていた。

「あー、恵美理」

 悟の言い方からして、彼ととても親しい人物なのだと察する。ごく近しい人間はすでに紹介してもらっているはずだが、この人は誰なのだろうか。

 その疑問はすぐに悟が解消してくれる。

「紹介しよう。彼女は八重沢グループのご令嬢で、八重沢恵美理さん。八重沢で主に飲食関連の会社をまとめ上げているんだよ」

 恵美理に向かって会釈する。

 八重沢グループといえば、清塚グループに並ぶ大企業グループだ。八重沢も旧財閥の一つだったと記憶している。

 悟と同じくこの人の所作にも品があり、一流の世界に身を置く人なのだと志歩でもわかる。

 美しい人だなと志歩が見惚れる中、悟は志歩のことを恵美理に紹介している。

 恵美理と軽く握手をし、二言三言言葉を交わすと、恵美理はすぐに視線を悟へと向けた。

「悟さん、仕事のことでお話ししたいことがあるの。少しいいかしら?」

 悟の視線がちらりと志歩へと向けられる。志歩を一人残すことを心配しているのだろう。

 パーティーが始まったばかりの頃であれば、残されるのは怖かっただろうが、打ち解けてきた今ならば問題ない。

 志歩は悟に向かってにこりと微笑む。

「私は大丈夫ですよ。行ってきてください」
「……ごめんね。すぐに戻るから」

 悟は迷い迷いという様子ではあったが、そう言い残して、恵美理と共に志歩のそばを離れた。
< 111 / 173 >

この作品をシェア

pagetop