セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
「でも、悟さんもやり直したいって言ってくれていたじゃない」

 志歩は大きく目を見張る。

「え……」

 思わず声が漏れる。恵美理が言ったことが信じられない。

 悟は確かに志歩を愛してくれていると思っていたのに、恵美理との復縁を望んでいるというのか。そんなことあるはずがない。何かの間違いだ。

 志歩のその考えは打ち砕かれる。

「確かに、やり直したいとは言ったけど……」

 ひゅっと息を呑む。悟の言葉が受け入れられない。

「嘘……いや、嘘……」

 ショックで頭が真っ白になりそうになる中、向かいから誰かが近づいてくるのに気づいた。

 志歩は慌ててその場を離れ、咄嗟に化粧室へと入る。

 誰もいないその空間に一人でいると、勝手に涙が滲んできた。悟にほかに想い人がいたことが悲しくて、どんどん瞳が潤んでいく。持っていたハンカチでそっと拭うが、またすぐに次の涙が浮かんでしまう。

 そのまま本格的に泣きそうになるが、鏡の中に映る己の姿を見たことで、どうにか冷静さを取り戻した。

 久枝の誕生パーティーで悲壮感漂う顔は見せられない。志歩は苦しい気持ちに無理やり蓋をし、その顔に笑顔を張り付けてから会場へと戻った。

 後から志歩のところへ戻って来た悟は、少しも変わりなく志歩に優しい表情を向けてくれていたが、それがかえって志歩を切なくさせた。

 少しの動揺もなく本心を隠せてしまう悟に気づき、悟の気持ちがわからなくなってしまったのだ。
< 115 / 173 >

この作品をシェア

pagetop