セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
 一気に地獄に落とされた気分だった。また好きな人がいなくなってしまうと深い悲しみに襲われた。

 悟がどのタイミングで恵美理との復縁を望んだのかはわからない。ただ、誠実な悟が志歩との結婚後にそれをしたとは思えない。おそらくはその直前ではないかと予想している。

 恵美理との復縁は叶わないと思い、彼女への想いを断ち切るためにも、志歩との道を決断したのではないかと思う。

 それなのに志歩と悟が結ばれた直後に、恵美理が彼との復縁を望むとは、あまりにもタイミングが悪すぎる。

 せめて体を重ねる前だったら、ここまで苦しまずに済んだだろう。悟を下手に傷つけることもなかった。素直に話し合いをして別れることもできたはずだ。

 けれど、一度深く愛し合ってしまった以上、どうしたって傷つくことは避けられない。志歩も悟も恵美理も、全員が傷を負うことなく幸せになる道はどこにも存在しないのだ。

 だから、一番浅い傷を選ぶ。彼らの長年の想いを捨てさせるのではなく、志歩の想いだけを捨てる。いや、どれだけ泣いても消えはしなかったのだから、きっと捨てることはできない。代わりにこの胸の中に閉じ込める。そうすればすべて丸く収まるはずだ。

 志歩は隣で眠る悟の指に自身のそれを絡めようとしてすぐに思いとどまる。ほんの少しだけ触れた指先が火傷しそうなほど熱い。その熱が消えてしまうのが嫌で、胸元できゅっと手を握りしめた志歩は、ひたすら悟のことを想いながら眠れぬ夜を過ごした。
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