セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
『悟さん、ごめんなさい。
手紙だけ残して去ることをどうかお許しください。本当はきちんと話をしなければならないとわかっています。でも、悟さんと話して、冷静でいられる自信がまだありません。自分勝手なことだとわかってはいますが、今の私にはこうすることしかできません。本当にごめんなさい。
これまでのこと、全部思い出しました。悟さんとの出会いも、結婚したときのことも、それからのことも、そして、あの日のことも。すべてを思い出しました。
記憶を失ってからの半年間、何も知らない私に寄り添ってくれてありがとうございました。そして、本当にごめんなさい。
あの日に言った通り、離婚しましょう。気持ちの整理がついたら、必ず連絡します。どうかそれまでは一人でいさせてください。志歩』

 目覚めのときとは打って変わって、深い絶望を味わう。幸せで満ち溢れていたはずなのに、今は罪悪感と後悔の念に襲われている。

 志歩が自分を好きになってくれるまで、深く愛してくれるようになるまでと、やるべきことを先延ばしにした結果がこれとはあまりにも情けない。

 志歩を傷つけないようにと慎重になっていたつもりが、かえって彼女を深く傷つけてしまった。二度も志歩を苦しめたのかと思うと胸が痛くてたまらない。

 これならば最初からすべてを明かしておけばよかった。何もかもをさらけ出して、それから二度目を始めればよかった。

 しかし、そんなことを今さら思ってもどうにもならない。起きてしまったことを取り消すことはできないのだ。

「ごめん。志歩さん……」

 ほかに誰もいないリビングに、悟の声が虚しく響いた。
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