セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
「恵美理! いい加減にしないか!」

 恐ろしい形相をした男性がそう言いながら入ってくる。

「お父さま……違うのです。私は八重沢のためを思って――」
「黙りなさい! お前がやったことはすべて把握している。八重沢の人間を連れておいて、私に話が回らないとでも思っていたか!」
「ああっ……」

 恵美理は絶望の表情を浮かべている。

「あれほど目先の利益だけを求めるなと言い聞かせてきたのに、よりにもよって自分のことしか考えていないとは浅慮がすぎる。お前が持っている会社はすべてほかの者に引き継がせるからそのつもりでいろ」
「そんなっ! お考え直しください、お父さま!」
「必要ない」

 縋る恵美理を、彼女の父は強く撥ねつけている。

「……悟さん、助け――」

 恵美理は次に悟に縋ろうとしたが、悟もまた恵美理に冷ややかな目を向けている。

「僕の最愛の人を傷つけた君を許すことはできない。君を助けることは二度とないよ」
「っ、どうしてよ! 私は八重沢のために……」

 力なくその場に崩れ落ちる恵美理。そんな彼女のもとに、また新たな人物が車椅子に乗ってやって来た。

 この中で誰よりも威厳を放つその人は、清塚グループの会長で、志歩からすれば義理の祖母にあたる久枝。

 久枝はとどめとばかりに、恵美理に淡々と告げる。
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