セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
「社長!?」
「志歩さん。しーっ。ここ病院だから」

 指を口に立ててそう言われれば、自分がとてもはしたない行為をしたと自覚させられる。志歩は慌てて自らの口を手で覆った。

「っ、ごめんなさい。驚いてしまって」
「ははっ、驚かせてごめん。そういうつもりではなかったんだけどね。仕事にばかりかまけてきた人間だから、自己紹介するならこれが一番僕を表しているだろうと思ったんだ。つまらない自己紹介でごめんね」
「そんなこと言わないでください。つまらないなんて思いません。だって、これはあなたの努力の結果ですよね。これだけお若いのに、あのプルモンドを経営されているなんて、並大抵のことじゃないと思います。素人の私でも、本当に優れた方なのだとわかりますよ」

 見た目からして悟は志歩と同年代だろう。その若さでプルモンドのトップに立っているのは、彼の実力が優れているからにほかならないはずだ。

 つまらないなどとはまったく思わない。どちらかといえば、情報量が多くて困っているくらいだ。

「ははっ、若いって、志歩さんよりも四つも上だけどね」
「四つ? えーっと、それじゃあ……」

 自分の今の年齢を基準に考えようとして、そういえば一年ずれているんだったと思い出す。

 そうなると基準はいくつになるのだと混乱していたら、悟があっさり答えを教えてくれる。

「三十三だよ。志歩さんは今、二十九歳」
「そうでした。今は二十九歳。四つ足したら三十三ですね」

 昨日、自分の年齢については確認していたはずなのに、一年分の記憶が失われているという事実にとらわれて、すっかりそのことが抜けていた。

 それにしても、三十三歳で五つ星ホテルの経営者とは、やはり只者ではない。
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