セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
「その食事会で、僕と志歩さん二人だけで会話をするタイミングがあったんだけどね、そのときに随分と会話が弾んだんだ。きっと病院の外で会っているという状況とお酒のせいだろうね。気づけば、プライベートなことまで話していた」
「プライベート……どんな話ですか?」

 ろくでもない話をしていなかっただろうかと不安になりながら問う。上流階級の人間にくだらない話をしていたら申し訳ない。

 志歩のその不安は、予想とは違う方向で的中していた。

「失恋の話だよ」

 悟から発されたそのワードに思わずびくりと反応する。

 まだ完全には癒えていない傷が疼く。

 おそらく食事会のときの志歩も同じような心境だっただろう。俊也との別れを引きずっていたに違いない。

「ひどい別れ方をしたと聞いてね。僕は志歩さんを慰めてあげたくなったんだ。あなたの心を少しでも軽くしてあげたかった。だから、僕も似たようなことがあったと話したんだ」
「似たようなこと?」
「僕には婚約者がいたんだけど、仕事に専念したいからと振られてしまってね。もちろん正当な理由だし、ひどい振られ方ではないけど、志歩さんと同じく結婚直前で破談になった。その話をしたんだ」
「そんな……悟さんが……?」

 今の今まで思い至らなかった悟の過去に驚きを隠せない。これだけ素敵な人が振られる状況があるとは考えもしなかった。

 しかし、そういう事情があったならば、悟に相手がいなかったことには納得がいく。志歩が悟と結婚できた理由の一端が見えた気がした。
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