セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
「志歩さんは本当に同じ反応をするね。あの日もそうやって驚いていたけど、次のデートも承諾してくれたんだよ。そこからはちょくちょく二人で出かけるようになってね。でも、なかなか恋愛関係には踏み込めなくて、中途半端な関係のまま時間だけが流れていった」

 無理もないと思う。また失ってしまうのではないかと思えば、簡単にそこには踏み込めない。何か大きなきっかけでもないかぎり、前に進むのは難しかったはずだ。

「想像できます。きっときっかけが必要でしたよね」
「そうだね。志歩さんの言う通り。そして、そのきっかけをくれたのは志歩さん」
「私?」
「うん。出会ってから半年が経とうという頃、志歩さんに言われたんだ。地元に帰るかもしれないと。それを聞いて、ようやく尻に火がついた」
「えっ……私が地元に?」

 今の志歩にその考えはないから、自分が言ったことのように思えない。急に別の人の話を聞いているような気持ちになるが、どうやら本当に志歩の話らしい。

「そうだよ。結婚がなくなった以上、こっちにいる必要はないからって。ご両親もそれを望んでいたみたいだね」
「あ、そっか。両親が……確かに、その通りかもしれません」

 両親には俊也と結婚の挨拶に行くという話をしていたから、彼らは結婚がだめになったと知って、志歩に帰って来るように言ったのだろう。

 そして、そんな両親を安心させるために、志歩は地元に戻ることを考えたに違いない。
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