セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
 深い深い安心感を得て、志歩はもう一度夢の世界へ誘われそうになる。

「まだ眠い?」
「ん……少し」
「できることなら二度寝させてあげたいけど、今日は仕事だからね」
「はい……起きないとですね」

 頭ではそう理解しながらも、志歩はまだ悟に寄りかかったまま。あまりに心地よすぎて動けない。

「じゃあ、僕が志歩さんの目を覚ましてあげようかな」
「え?」

 まだ鈍い思考で疑問の声を発した直後、志歩を抱きしめる悟の腕の力が強くなった。ぎゅうぎゅうと少し痛いくらいの強さで抱きしめられる。

「どう? 少しは覚めたかな?」

 あまりに強い抱擁がなんだかおかしくて笑いがこぼれる。おかげで彼の言う通り、目もしっかりと覚めた。

「ふふ、覚めました」
「本当に?」

 志歩の顔を覗き込むようにしながら問うてくる。

「本当です」

 悟を見つめながら答えれば、彼の手が優しく志歩の頬を包んでくる。指先で軽くくすぐるように撫でられ、抱擁とはまた違う心地よさに襲われた。

 心臓が少し強くトクンと跳ねて、それが苦しいのに気持ちいい。頬から全身に快感が伝わって、うっとりとする。

「まだ目がとろんとしているよ」
「それはっ」

 眠くてそうなっているわけではない。悟から与えらえる快感のせいだ。

 それは悟とてわかっているはず。その上でわざと口にしているのだろう。彼の瞳にはいたずらな光が宿っている。

「……いじわる」
「ははっ、ごめんね。志歩さんがかわいいからつい」
「もう……」

 わざとらしく拗ねてみせれば、悟は詫びるように志歩の頭に優しく触れてくる。

「じゃあ、目も覚めたみたいだし、起きようか」

 悟はそう言うと、志歩の頭を一撫でし、先に寝室を出て行った。

 一人残された志歩は枕を両腕で抱え、そこに顔をうずめる。その状態で「んー!」と声を出しながら、足をバタバタとさせた。

 悟のすべてが甘くて、甘くて、こうして逃がしてやらないと甘さに溺れてしまいそうなのだ。

 恋と呼べるかはまだわからないが、胸は強くときめいている。毎日ドキドキして、悟との時間を愛おしく感じている。

 志歩の心の中を占める悟の割合は、間違いなく日に日に大きくなっていた。
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