セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
 仕事終わり、志歩は加奈と共に駅までの道を歩く。

 元々、志歩も加奈も電車一本で通勤できる範囲に住んでいたのだが、あのマンションで暮らす今、志歩は途中で乗り換えが必要となった。とはいえ、途中までは同じ路線ということもあり、タイミングが合えばこうして一緒に帰宅している。

 仕事帰りということもあり、会話の内容は仕事に関することが多くなりがちだが、ときにはプライベートな話をすることもある。

 今日は加奈がプライベートな話題を持ち出してきた。

「志歩、最近雰囲気がやわらかくなったよね」
「そう?」
「うん。まあ、元々ピリピリするタイプじゃないことはわかってるよ。ただ、少しだけ無理してる感じがあったのが、自然体になった気がする。結婚した後の雰囲気に戻ったかな」

 志歩は軽く驚きの表情を浮かべる。

 記憶がない時期のことはわからないし、今も自分にそんな変化が起きているとは自覚していない。

 もちろん心境の変化があったのは確かだが、それが自分の表面に出ているとは思っていなかった。

 まさか以前と同じ雰囲気になっているとは、それだけ悟の影響が大きいということだろう。

「私、結婚した後、そういう感じだったんだ」
「わずかな差だけどね。でも、幸せそうな顔してた」
「幸せそうな顔。そっか」

 小さくつぶやきながら微笑む。今の志歩が悟との暮らしに幸せを感じているように、過去の志歩もそれを感じていたのだろう。そう思えば、心が温かくなる。

 忘れてしまった時間も悟に大切にしてもらっていたのだなと感じて嬉しくなった。

 その喜びを噛みしめるように笑みを深めていれば、突然加奈に軽く頭を小突かれる。
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