セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
***
「くそっ!」
事が思うように運ばず、苛立ちを募らせた俊也は、周囲の人間を睨みつけながら歩く。腹が立って、腹が立ってしかたがない。
志歩に拒絶されたことはもちろんのこと、今自分が陥っている状況も気に食わない。
本来であれば、今頃世間からもてはやされるトップ俳優になっていたはずなのだ。それがくだらないスキャンダルに巻き込まれて、まともな仕事がこなくなってしまった。
準主役を演じた二年前は、話題の俳優としてあちこちから仕事が舞い込んでいたのに、今は端役の依頼がくればいい方。俳優としての仕事はほとんどない。
その一方で、ゴシップ狙いの記者が時折俊也を思い出したようにつきまとってくる。自宅を嗅ぎまわられ、醜悪な質問を投げられ、我慢できずに何度手を出しそうになったことか。怒りに任せて怒鳴り散らしたくても、それをネタにされるとわかっている以上、ひたすら無視をするしかない。
日に日に精神を削られ、限界を迎えそうになった頃、俊也の頭に浮かんだのは志歩の姿だった。
志歩といたあの頃はすべてが上手くいっていた。売れるまでの苦労はあったにせよ、私生活を志歩にサポートしてもらい、仕事では着実にステップアップできていた。
それが志歩と別れて以来、何もかもが上手くいかなくなってしまった。いや、初めは順調だと思っていたのだ。
人気俳優らの集まりに呼ばれ、売り出し中のアイドルといい仲になり、もう自分は一般人ではないのだと優越感に浸っていた。選ばれし人間なのだと思っていた。
だが、それは一時的に得た人気を食い物にされただけに過ぎなかった。いい仲だったはずのアイドルは、気づけば別の俳優に乗り換えており、あろうことか、自分の二股は棚に上げて、俊也の二股を破局の理由に仕立て上げたのだ。
事実は異なると訴えたくとも、二股自体は事実なだけに反論できず、俊也一人がその地位を追われることとなった。
俊也を誘っていた俳優連中も、皆手のひらを返していなくなった。
すべてを失った今、俊也が欲しいと思ったのは、過去の幸せだった。志歩といた頃の幸せを取り戻したくなった。志歩とよりを戻せば、また返り咲けると思った。
それが、まさかあの志歩に拒絶をされるとは思ってもみなかった。ずっと俊也一筋だった志歩が、自分の手を取らないことがあるとは想像もしていなかった。
それどころかすでに結婚しているなどと、信じられないことまで口にしていた。
「なんなんだよ。結婚って、どういうことなんだよ……」
自分のものだったはずの志歩が、ほかの誰かに取られたという事実が面白くない。苛立ちがどんどん大きくなる。あまりにむしゃくしゃして、近場のごみ箱を蹴って憂さを晴らしていれば、唐突に見知らぬ女に声をかけられた。
「くそっ!」
事が思うように運ばず、苛立ちを募らせた俊也は、周囲の人間を睨みつけながら歩く。腹が立って、腹が立ってしかたがない。
志歩に拒絶されたことはもちろんのこと、今自分が陥っている状況も気に食わない。
本来であれば、今頃世間からもてはやされるトップ俳優になっていたはずなのだ。それがくだらないスキャンダルに巻き込まれて、まともな仕事がこなくなってしまった。
準主役を演じた二年前は、話題の俳優としてあちこちから仕事が舞い込んでいたのに、今は端役の依頼がくればいい方。俳優としての仕事はほとんどない。
その一方で、ゴシップ狙いの記者が時折俊也を思い出したようにつきまとってくる。自宅を嗅ぎまわられ、醜悪な質問を投げられ、我慢できずに何度手を出しそうになったことか。怒りに任せて怒鳴り散らしたくても、それをネタにされるとわかっている以上、ひたすら無視をするしかない。
日に日に精神を削られ、限界を迎えそうになった頃、俊也の頭に浮かんだのは志歩の姿だった。
志歩といたあの頃はすべてが上手くいっていた。売れるまでの苦労はあったにせよ、私生活を志歩にサポートしてもらい、仕事では着実にステップアップできていた。
それが志歩と別れて以来、何もかもが上手くいかなくなってしまった。いや、初めは順調だと思っていたのだ。
人気俳優らの集まりに呼ばれ、売り出し中のアイドルといい仲になり、もう自分は一般人ではないのだと優越感に浸っていた。選ばれし人間なのだと思っていた。
だが、それは一時的に得た人気を食い物にされただけに過ぎなかった。いい仲だったはずのアイドルは、気づけば別の俳優に乗り換えており、あろうことか、自分の二股は棚に上げて、俊也の二股を破局の理由に仕立て上げたのだ。
事実は異なると訴えたくとも、二股自体は事実なだけに反論できず、俊也一人がその地位を追われることとなった。
俊也を誘っていた俳優連中も、皆手のひらを返していなくなった。
すべてを失った今、俊也が欲しいと思ったのは、過去の幸せだった。志歩といた頃の幸せを取り戻したくなった。志歩とよりを戻せば、また返り咲けると思った。
それが、まさかあの志歩に拒絶をされるとは思ってもみなかった。ずっと俊也一筋だった志歩が、自分の手を取らないことがあるとは想像もしていなかった。
それどころかすでに結婚しているなどと、信じられないことまで口にしていた。
「なんなんだよ。結婚って、どういうことなんだよ……」
自分のものだったはずの志歩が、ほかの誰かに取られたという事実が面白くない。苛立ちがどんどん大きくなる。あまりにむしゃくしゃして、近場のごみ箱を蹴って憂さを晴らしていれば、唐突に見知らぬ女に声をかけられた。