セカンドマリッジ ~病室で目覚めたら、夫と名乗るイケメン社長との激甘夫婦生活が始まりました~
「あの、ご迷惑でなければですけど、私たちがお子さんのお相手になりましょうか?」

 恐る恐る母親に尋ねてみると、彼女は少し驚きながらも、嬉しそうに笑っている。

「まあ、すみません。そんな迷惑だなんてとんでもないです。でも、この子は騒がしいから、そちらのご迷惑になりませんか?」
「大丈夫ですよ。賑やかな方が楽しいですから。ね、悟さん」

 悟に問いかけると彼も笑って頷いている。

 志歩らが問題ないと示したことで、母親は次に子供に尋ねる。

「お姉ちゃんたちが一緒に遊んでくれるって言ってるけど、どうする?」

 自分のことを『おばちゃん』ではなく『お姉ちゃん』と言ってくれたことに志歩は内心で喜びながら、子供の反応を窺う。

 母親を見ていた子供の目は、志歩と悟に向けられ、またすぐに母親へと戻る。

「遊びたい!」

 元気のいい返事に笑いがこぼれた。

「すみません、少しだけお願いしてもいいですか」
「もちろんです。よし、じゃあ、お姉ちゃんたちと遊ぼう。おいで」

 心配をかけないようにと両親の近くに陣取る。子供と志歩と悟で二等辺三角形を作る。

 志歩と悟が横に並び、子供が打つシャトルを優しく打ち返す。

 大人二人でやるのとは違い、ゆっくりと低い位置に返さないといけないからなかなか難しい。しかも、子供はあちこちに飛ばしてくるから、こちらは拾うのが大変だ。

 これを母親一人で相手していたのかと思うと心から尊敬する。

 志歩と悟は子供が飽きるまで相手を務め、その無尽蔵な体力を前に最後は体が悲鳴を上げていた。

 家族に別れを告げ、悟と共にテントまでの道を歩く志歩はふーっと長く息を漏らす。

 予想外に体力を使ってしまったが、子供のはしゃいでいる姿を見ているのはとても楽しくて、随分と満たされた心地になっている。

「楽しかったですね。それにすごくかわいかった」
「そうだね。志歩さんもかわいかったしね。子供みたいにむきになっていて」

 自覚があるだけに否定はできず、志歩は照れ隠しに歩くスピードをほんのちょっとだけ速める。

 悟もそのスピードに合わせて歩きつつ、横でくすくすと笑っていた。
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