悪辣外科医、契約妻に狂おしいほどの愛を尽くす【極上の悪い男シリーズ】
「言っておくが璃子、父さん、パワハラなんてしてないぞ? 武凪くんには常々、うちには男に縁のない独り身の娘がいて、そろそろ婚期が迫っているから心配で仕方がないと相談していたんだ」

「お父さん、周りの人にそんな相談してるの……?」

 ってことは脳外科のみなさんに〝道根先生の娘さんは男に縁がなくて独り身で〟って噂されているかもしれないってこと?

 武凪さんが眉をハの字にして温い目で微笑む。ああ、恥ずかしい……。

「とにかく、武凪くんも了承してくれたから、璃子を紹介したんだ」

「了承って……」

 父は最初からこの提案をするつもりで――お見合いのつもりで私をここに呼んだのだろうか。事情を知らなかったのは私だけ?

「こんなにできた男は他にいないぞ、璃子? ほら、見た目だっていい男だろう?」

「それは……す、素敵な方だと思うけど」

 確かに、武凪さんのルックスはお世辞抜きにカッコいい。

 医師で将来有望で見た目もカッコいいなんて、こんな好条件の男性、望んだってそうそう巡り合えないだろう。

「でも、初めてお会いした方といきなり結婚なんて言われても……」

 いくら父が信頼している男性だからって、結婚を即決できるわけがない。

 私が期待通りの返答をしなかったせいか、困ったように嘆息する父。

「すまないね。うちの娘が贅沢を言って」

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