悪辣外科医、契約妻に狂おしいほどの愛を尽くす【極上の悪い男シリーズ】
「いえ。きちんとご自身で思考なさる、道根部長によく似た実直なお嬢さんだと思いますよ」
武凪さんは目を閉じて、感じ入るように漏らす。私の内側を見てくれたような気がして、ほんのり胸が熱くなる。
「璃子。すぐに決断できないというなら、まずはふたりで食事をするところから始めさせてもらったらどうだ? 今、お付き合いしている男性はいないんだろう?」
「それはもちろん。いないけれど……」
父の提案に、ちらりと武凪さんを覗き見て様子をうかがうと、柔らかな笑みが返ってきた。
「もちろん、それでかまいませんよ」
彼の長い睫毛がぱちりと上下する。ゆるりと湛えた微笑みは、人がいいだけでなく思慮深さや狡猾ささえ感じられて……。
うまく理由は説明できないけれど、ただ父の言いなりになってお見合いに応じているわけではない気がする。
「よろしくお願いします。璃子さん」
そのひと言に、うまく丸め込まれてしまった。非の打ち所がない相手に「嫌です」なんて言えるわけもない。
「……こちらこそ」
自分の気持ちも相手の反応も探り探りのまま、結婚を前提としたお試し期間が始まってしまった。
真宙さんは現役時代の父よろしく、手術の予定やオンコールの当番――急患に備えた自宅待機が多くとても忙しい。
武凪さんは目を閉じて、感じ入るように漏らす。私の内側を見てくれたような気がして、ほんのり胸が熱くなる。
「璃子。すぐに決断できないというなら、まずはふたりで食事をするところから始めさせてもらったらどうだ? 今、お付き合いしている男性はいないんだろう?」
「それはもちろん。いないけれど……」
父の提案に、ちらりと武凪さんを覗き見て様子をうかがうと、柔らかな笑みが返ってきた。
「もちろん、それでかまいませんよ」
彼の長い睫毛がぱちりと上下する。ゆるりと湛えた微笑みは、人がいいだけでなく思慮深さや狡猾ささえ感じられて……。
うまく理由は説明できないけれど、ただ父の言いなりになってお見合いに応じているわけではない気がする。
「よろしくお願いします。璃子さん」
そのひと言に、うまく丸め込まれてしまった。非の打ち所がない相手に「嫌です」なんて言えるわけもない。
「……こちらこそ」
自分の気持ちも相手の反応も探り探りのまま、結婚を前提としたお試し期間が始まってしまった。
真宙さんは現役時代の父よろしく、手術の予定やオンコールの当番――急患に備えた自宅待機が多くとても忙しい。