【企】SNOW KISS





そう、あたしは拓真のことが好き。


物心ついた時から拓真はあたしの傍にいた。


あたしが辛くて泣いた時も、嬉しくて笑った時も、喧嘩して怒った時も、いつも一緒だった。

いつも彼が隣にいたの。


寂しい時は、優しく手を握ってくれてたことも覚えてる。


そんな彼に恋心を抱くには時間はかからなかった。


当たり前に隣にいる幼なじみから、
これからもずっと隣にいたいって思う愛しい人に変わったの。



彼を見れば好きっていう気持ちが溢れる。


だけどあたしは想いを伝えない。


幼なじみというポジションに長年いると、そこから進むのは強い。

告白して、もしフラれたらこの関係が崩れてしまうかもしれない。

もう隣にいられないかもしれない。


そう考えるだけで怖くて、怖くて。




そうなるくらいならあたしは、隣にいられる“幼なじみ”って言う関係のままいいんだ。

このままで。






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