縁はいなもの?味なもの?
🐝
縁が降ってきた日あれは・・・
「おーい、武」
営業先のテナントで大学で同じサークルだった郷田敦に呼び止められた。彼は某有名アパレルの店長をしている
「武、営業にきたのか?」
相変わらずの軽いノリと高身長の整った顔に紺のスーッがやけに似合っていた
「おう、久しぶりだな元気していたか?」
俺は今、敦とは違う店舗のジュエリーショップに新作の営業に来ていた。
俺はセールスマンの風貌に髪は短く整えパリッとしたアイボリーのスーツを着て奴に手をあげる
敦に会えたのは偶然中の偶然
「え?合コン、今日の今日?」
「ああ、くるか?席が空いたんだよ来てくれると嬉しいな久しぶりだし、積もる話もしょうぜ」
「え?合コンそっちのけで?積もる話出来ないぜ」
まあ、敦の誘い文句って事は分かってるが企業の受付嬢と秘書と聞いて
俺のテンションもってきた
美人揃いな匂いがプンプンする
「分かった、行くよ」
時間と場所を確認したら何とか間に合う感じだった。
「契約ありがとうございます」
新作のジュエリーは売れ行きが好調でもあり取引はサクサクと終わった。
俺の成績もうなぎ登り
生まれつき顎が達者な俺には天職
喋るの好き面白いの大好き
その日は仕事終わり直帰になった。
俺は敦と待ち合わせた駅前のバス停に立ち煙草を吸いながら缶コーヒーをプシュッとあけて時計を見る
18:00ソロソロ来るかとキョロキョロ敦を探す
が走ってきたのは、背の高いイケメンじゃなくてサラサラロングの
身長の低い彼女だった。
ドン💥とぶつかって俺のコートをつかみグルリ、俺は反転した。
「た、助けて」
よく見ると変な男が彼女を追って来た
「ねえ、ねえバスト何カップ」
「ハアハアハアへ、変態野郎消えろ」
彼女は息を切らしながらへえへえ前屈みになり俺の後ろに隠れた
「彼女ぉ~」
俺の腕の隙間から彼女の腕を握ろうとしてきた、
「ヤメロ嫌がってるダロ💢」
「お前には関係ない💢ドケ」
ヤツもそりあげて、無いまつ毛に力を入れて眉間にしわ寄せ俺を睨んできた
勿論負ける気はしない
「んだとぉ~💢警察呼ぶゾ」
オレがそう叫ぶと
警察と聞いて、ややひるんだような感じで
「よ、呼ぶなら呼べよ
俺はただ声掛けただけだし💢」
そう言って俺にメンチ切ってきた
「オマエ、彼女を追い回してるだろうが💢」
俺も負けずにガン(眼)飛ばしながら言う
その時
「もしもし警察ですか
いま駅前で変なひとに・・」
と言う女の声が聞こえた
若い男はチッと舌打ちしながら
「今度あったらおぼえてろー」
と ありがちな弱弱しいセリフを投げ捨て早足で立ち去った。
その後本当に警察が来て色々聞かれ、ようやく来た敦に断りを入れ合コンは欠席になった。
「すみません」
話を聞いていた彼女はすまなそうに謝った。
彼女のお腹がググ~と鳴いたので
時計を見ると19:30になっていた
そろそろ飯時だと思っていると
「あの~
知り合いのやっているカフェレストランがあるんで行きませんか
お詫びにご馳走させてください」
薄暗いブルーの街にポッポッと灯りがさしだした彼女はニッコリと笑い
「お礼させて下さい」
そう言った
え?高収入の俺におごる?
俺は彼女の事を上から下まで眺めたが金持ちお嬢様には見えなかった
白いブラウスにフレアスカートどう見ても履き古した靴
「知り合いのお店そこなんです
お父さんが某有名ホテルのコック長でステーキなんか三ツ星並で
凄く美味しいの」
知り合いの店か、なら奢ると言うのには納得だ‼
そんな彼女の殺し文句に誘われ
「ありがとう
ご馳走になるよ」
そう言って二人で歩き出した店は駅裏にありガラス張りの入り口には
女の顧客がよろこびそうな花々が色とりどりに生けてあった。
「彩奈さーん久しぶり」
ドアを開けて彼女が叫ぶとテーブルを片付けていた彩奈という名であろう彼女が振り向いた
白いコック服に黒い膝下までのエプロン
やわらかそうな髪は緩いカールがかかっていて後ろでぴンクのシュシユでひとまとめにしてあった。
「加奈久しぶり あらあら彼氏さん?」
彼女は柔らかい笑みをたたえ優しい顔をしていた
「違う違う」
顔の前で右に左に手をパタパタと振る
加奈はさっきの出来事をかいつまんで話していた
「あー、そう言えばサイレンなってたワ、
アレ加奈だったの?」
「うん、この人が助けてくれて」
加奈は下からクリクリした目で、俺を仰ぎみた、みため女優の広瀬す〇によく似てると思うのは俺だけだろうか?マジマジみれば可愛い。
彩奈は加奈を助けてくれてありがとうと頭を下げた。
大人感のある美人に
俺は恐縮してしまい「いえいえ」
と答えるだけだった。
テーブルに案内され
「じゃあ、ハイスペックな彼に
何をご馳走するの加奈」
彩奈は彼の付けている時計やネックレス ゴツゴツした指に付けている指輪
質の良いスーツなどで彼が高収入とすぐ分かった。
加奈は俺に
「私が決めて良いですか」
と聞いてきた、
「勿論」
と俺は答えた
絶対ステーキだろうとさっきの話の流れだと誰もが思うよな
「じゃあ彩奈さん
カレーをふたつ」
Σ(⊙ө⊙*)!!え?マジか?
ここでカレーが何故出てくる?
ステーキステーキ、俺の胃袋はステーキ食う気満々になっているのに『カ、カレーかよ』
とズッコケたくなるが我慢
「加奈カレー好きよね」
くすっと笑う彩奈は俺に微笑んで聞いてきた
少し不満気な顔をしていたんだろうか?
「カレーでよろしいんですか?」
彩奈はオレに確かめて来る
確かに確かにカレーは好きだ風味アリの、ピリッときいたスパイス、毎日じゃないが1ヶ月に2回くらいはたべたくなるがそれは今か?違うだろだがしぶしぶ
「はい彼女の奢りなんでカレーで」
と答えたムスッとしたくなるが営業トップのわざとらしい微笑みで答える。
「ありがとうございます
加奈はまだ学生なので
カレー🍛🥄が妥当ですかね」
「え?君学生なの?」
まさか学生とは・・・
まあ学生っちゃ学生の風貌だ納得
「はい来年卒します。」
「えーマジ、なら僕がおごるよ」
営業トップのオレが学生に金を出させたなんて知られたら笑いものだ、
営業トップの名が泣くし仲間内で評判ものだ
「じゃあカレーやめて私ステーキで!」
加奈が叫ぶ
(; ꒪ㅿ꒪)エッとオレ
ここのオーナーである彩奈さんは
ニッコリ微笑んで
「じゃあステーキに変更ですね
ありがとうございます」
と言って厨房に声をかけに去っていった。
彼女は少し申し訳無いような顔をしていたが
「ヘヘッゴチになります」
と変わり身の早さで言った。
「ま、まあ良いよ」
料理が来るまで気まずい空気が流れた
テーブルに並んだステーキは
ジュウジュウと熱い音を立てて鉄板の上に添えられたバターとブロッコリーと人参、ジャガイモそっちのけで
デデーンと横たわっていた
「やっぱり肉🍖美味そう」
俺は直ぐフォークとナイフで肉を貪り食う、彼女の言った通り肉は上物で焼き加減もレアで口に入れると、とろけるように美味い
真向かいに座る彼女もパクパクと口に運んでいる
2人とも無口で息もつかず食いまくった、飯もツヤツヤホッコリで、まさかの彼女は米を
オカワリした‼しかも…ハ‼ 大盛り😳❗️❓
「やっぱり飯大好き」
と呟く がお前ズーズーしくないか?
と小さく呟くが彼女には聞こえ無かったらしい
彼女の皿は俺と同じく脇役しか残ってない
となると、お前オカズは?・・・
「彩奈さーん、唐揚げ2人分」
と加奈が又叫ぶと
唐揚げがすぐ出てきた
オレ⚆.⚆えっ!これもまさかの俺もち?💰
又又むっちりと黒胡椒を効かせ、ニンニクの匂いを振りまきつつ、
レモンを傍らにテーブルの上で唐揚げがツヤツヤと光る。
”ぇぇいこうなったら食うしかないダロ”
自分に声をかけ勢いをつける。
加奈も俺もステーキの鉄板をポイとどかし唐揚げをセンターに置いた
皿は大皿二つ
ニンニク味の染み込んだ唐揚げとは別に肉とカレー粉をまぶして揚げた生姜味の唐揚げ2種盛りが上手いのなんの、俺も加奈も肉食系だった。
オレと加奈は最後になった唐揚げに手を伸ばし箸でグサッ、ズン、俺もフォークをグサッ 箸とフォークの刺さる音が同時に響いた
突き刺さった唐揚げの乗る皿はズズイと右に左に重そうに動く
黒いみずみずしい黒目が隙をあたえす睨んでくる
俺もイケメンと呼ばれる顔をしかめつつ負けるか💢
食うと言うビジョンしか浮かばない
俺は負けるのが大嫌いなんだー
ミシミシと唐揚げは割れパツン‼半分になった時 加奈の手が俺のフォークを握りパクっ
慣れてないと出来ない技に唖然とする
「あー」
と叫んでいるうちにもう半分の箸に刺さった唐揚げをパクリ
しかも皿の端においやられたパセリを俺の口に押し込んで来たクソッ
最後の唐揚げは加奈の食道をゴクリと通過して胃袋に落ちた‼️
「あー
美味しかったです
ご馳走様」
と言いつつ残されたブロッコリーをパクリ加奈はブロッコリーとパセリは平等に分けたつもりか?
く、食われた、マジかー
敗北者の俺は伝票を
握りしめウグウグとテーブルにひれ伏した
「こんな女助けるんじやなかつたー😭」
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