縁はいなもの?味なもの?
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それから日々は過ぎ、俺も忙しい日々に追われて加奈との事はすっかり記憶の中から消えていた
入社式も終わって落ち着いてきた頃
「課長、歓迎会出るん?」
社長秘書の絵里香が出席を聞きに来た
「オレのとこ営業部だし、男ばっかだから、どうしようかなぁ飲んで騒ぐだけじゃつまらん」
桜も満開で街がピンクに染まる中、ハナミズキもチラホラ咲き始める四月半ばの新入社員の歓迎会がアチコチで始まる
「今年は営業部と販売部、それに受付の参加ですよ」
「受付?嗄(か)れたおばちゃんばっかじゃん!愚痴聞かされて散々な目に遭わされるしオババ達無駄に酒つぇーし、考えてみてよ!
どこの会社行っても受付嬢は可愛い系や綺麗系が座ってるのが普通やろ〜。あんなベテランババアを着飾って座らせておくなんて、ウチぐらい気持ちワリィ」
ババアなのにいっちょ前に化粧バッチリ
つけまつげパチパチ
あの目で睨まれたら動けなくなる
と叫ぶ武を絵里香は怒鳴りつける
「コラッ、そんなこと言っちゃダメよ。親切丁寧がモットーだから、彼女たちは良くやってくれて評判もいいし今年はそのおばちゃんたち、いや違う、ベテランのお姉さんたちが10人揃って定年になって、新しい若い女の子10人が入ってきたのよ。もう文句なしのみずみずしいピッチピッチ」
「え?マジピ、ピッチピッチ❤ってか
う、嘘じゃあるまいな、しかもあのおばちゃん達65なんかいー
なのに膝上のスカートはいてたの?
ウワッヤバ」
「ま、まあ ՞、ね
いいじゃん65だって
制服は制服よ」
「いや絶対縫い上げ上げてたぞあんな短い分けないだロ‼
味噌パンチィがたまに見えてたぞ🤮ウエー」
「ま、まぁね、仕事はすごく真面目だしデモネ
今度は勿論、新卒よ、新卒膝上スカートも似合うって」
そんな謳い文句に乗せられて、
「ホントだろうなーよし、出席!」
秘書の絵里香はニヤリと笑ってた。
今年はピッチピッチの謳い文句が効いたせいか出席が例年より多い
早くまともな彼女を見つけて貰いたいそんな気持ちで絵里香が選んだ人材10人
「コリャ会場をホテルに変更ね」
絵里香はすぐホテルに交渉する、後輩のボンボンが立ち上げたばかりのホテルだ、安くあげるのも秘書の仕事
使える物は手当り次第使う
「ガイラルディアか外観も中も
なかなかイイ、ホテルね」
後輩が持ってきたパンフを見ながらつぶやいた。
「交渉に行くか!」
絵里香はすぐ武に連絡する
「え?ヤダ俺忙しいんだけど無理」
武は嫌そうな声を出す
「私も行くから武も来てよ
社長連れていく訳にもいかないのよ、それにアンタの部署の歓迎会なんだから」