身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
「あっ、殿下っ……、聖女って、いまさらどういうつもりですか?」
手を引かれて執務室を出たエリシアはあわてた。
エリシアを聖女ではないと糾弾してきたのはカイゼルだったではないか。まるで、認めるような発言には疑念を抱いてしまう。
しかし、カイゼルはどこ吹く風で、エリシアを見慣れた部屋の前まで連れていく。
「どうして私の部屋に?」
「リビアのローブを着るのは気が引けると言ってただろう。俺がドレスを用意した」
「用意したって……」
「シルビアに任せてある。着替えたらすぐに出発だ。馬車まで来い」
一方的に言うと、カイゼルはビクターを連れて階段を降りていった。引きとめる間もなかった。仕方なく、エリシアが部屋の扉を開くと、シルビアが笑顔で駆け寄ってくる。
「エリシア様、お待ちしておりました。カイゼル様からこちらのドレスをと申し付けられております。療養所へお出かけとのこと、お髪もまとめさせていただきますね」
腕にかけたドレスを広げてシルビアが見せたのは、真っ白な絹のドレスだった。聖女のローブのように華美な装飾のない清貧さの中に、銀糸でさりげなく刺繍された草花の模様が上品さを与えている。このようなドレスを着て療養所へ出かけたら、特別な女性が来たと患者へ信じさせるにはじゅうぶんなものに見えた。
「カイゼル殿下が本当に、これを私に……?」
「最近のカイゼル様はすっかりエリシア様にご執心ですわね。でも、そうですわよね。エリシア様がこちらにいらした頃から、いつも遠目に見つめておられましたもの。きっとあの頃から……」
手を引かれて執務室を出たエリシアはあわてた。
エリシアを聖女ではないと糾弾してきたのはカイゼルだったではないか。まるで、認めるような発言には疑念を抱いてしまう。
しかし、カイゼルはどこ吹く風で、エリシアを見慣れた部屋の前まで連れていく。
「どうして私の部屋に?」
「リビアのローブを着るのは気が引けると言ってただろう。俺がドレスを用意した」
「用意したって……」
「シルビアに任せてある。着替えたらすぐに出発だ。馬車まで来い」
一方的に言うと、カイゼルはビクターを連れて階段を降りていった。引きとめる間もなかった。仕方なく、エリシアが部屋の扉を開くと、シルビアが笑顔で駆け寄ってくる。
「エリシア様、お待ちしておりました。カイゼル様からこちらのドレスをと申し付けられております。療養所へお出かけとのこと、お髪もまとめさせていただきますね」
腕にかけたドレスを広げてシルビアが見せたのは、真っ白な絹のドレスだった。聖女のローブのように華美な装飾のない清貧さの中に、銀糸でさりげなく刺繍された草花の模様が上品さを与えている。このようなドレスを着て療養所へ出かけたら、特別な女性が来たと患者へ信じさせるにはじゅうぶんなものに見えた。
「カイゼル殿下が本当に、これを私に……?」
「最近のカイゼル様はすっかりエリシア様にご執心ですわね。でも、そうですわよね。エリシア様がこちらにいらした頃から、いつも遠目に見つめておられましたもの。きっとあの頃から……」