身代わり聖女になったら、なぜか王太子に溺愛されてます!?
「私は……」

 エリシアはこちらをじっと見つめてくるふたりの真面目な視線に気づいて、身をすくめた。

 ガレスとの結婚から逃れるために修道女になりたいと願った。親に捨てられ、修道女になるしかなかったふたりとは立場も覚悟もまったく違う。こんな自分が本当に修道女になっていいのか、迷いがないわけじゃない。

「私は、もともと修道女になるために王都へ来たの。でももっと修行が必要だと思ってて……」

 エリシアは遠慮がちに答えた。エルダは、身寄りのいないエリシアに同情したが、いつかは出ていくように言われることもなければ、修道女になるよう勧められたこともなかった。

「何言ってるのよ。エルダ様にお願いすれば、お姉さまが指導してくださるのに。一人前の修道女になるには数年かかるのよ。そのつもりならはやく志願した方がいいわ」

 マルナが叱咤するように言う。雑用係としてさまざまな下働きを任されるエリシアを思ってのことだろう。

「まだ早いって言われないかな?」
「言わないわよ。エルダ様は何も強制されない方だから。エリシアが修道女になりたいって思ったときがそのときよ」
「マルナの言う通りだよ。ね、エリシア。今からエルダ様のところに行ってこようよ」
「えっ、今から?」

 ルルカは思い立ったらすぐ行動に移すタイプだ。いきなり腕を引っ張られて、助けを求めるようにマルナを見るが、彼女はすました顔をしているだけで、止めに入らない。ルルカに賛同してるのだろう。
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