それは麻薬のような愛だった


「なに?まさか手遅れとか言わないよな?」

「いや違くて…私じゃなくて友達がね。たぶんだけど山中さんの事気になってるんだよ。…うわー…そっか…どうしよう…」


美波にはこの事伝えるべきだろうか。けれど何故それを知っているのか問われかねないし、傷つくと分かっていて言うのは憚られる。

けど手遅れになる前に伝えてあげたい。雫がその狭間で揺れていると、颯人はコトリとグラスを置いた。


「…じゃあ雫は、昔から変わってないんだね」


問いかけとも断定とも聞こえる颯人の言葉にピタリと動きが止まる。ゆっくりと顔を上げた雫は颯人を見つめ、それから苦笑だけを返した。

それで悟ったのだろう、颯人はそれ以上は何も言わなかった。

雫はそんな颯人を見つめながら、静かに話しかけた。


「あのときはごめんね、颯人」


7年ぶりの謝罪は颯人にはどう聞こえるのだろう。今更だと罵られるか蔑まれるか、どちらにせよ出会ってしまった以上、雫は謝らずにはいられなかった。


「だけど誤解はしないで欲しいの。私は本当に、颯人の事大事だったし、好きだったよ」

「…。けど、理由は話せないんだろ」

「それは…ごめん。どうしても言いたくない」


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