それは麻薬のような愛だった
あの時は全ての男がダメになったのだと思っていた。それならばまだマシだったのに、セフレだった幼馴染だけは大丈夫だなんて、とてもじゃないけど口にはしたく無かった。
それに例え理由を話したところで過去は消えないし、今後も変わらない。
雫が天城伊澄というただ一人の男に一生囚われて生きていく事は、どうあっても変えることなど出来ないのだから。
「…俺、今彼女居るんだ」
唐突に言われた言葉に無意識に伏せていた視線が上がる。
真っ直ぐに見つめてくる視線に、思わず涙が浮かんだ。
「彼女…?」
「雫と別れてからしばらくして付き合った子。…結婚も考えてる」
「!そっか…!」
雫の声は自制が効かないほどに弾んでいた。大きな瞳を潤ませ、かつての彼氏の幸せを心から喜んだ。
「良かった…本当に…」
ずっと胸に残っていた。颯人を深く傷つけてしまったんじゃないかと。あれほど大切にしてくれた人を裏切るような事をしてしまい、心には鉛のようなものが常に残っていた。
けれど、颯人が新しい恋を見つけてその女性と幸せになってくれたなら、ほんの少しだが救われた気がした。