それは麻薬のような愛だった
あっさりと当てられ言葉を失う。あからさまな反応を見せた雫に、颯人はおもむろにテーブルに腕を乗せた。
「少し考えれば分かることだし、別れた時から察しはついてたよ」
「そう…なんだ」
「随分と碌でもない男と付き合ってたんだね」
「!違っ…」
平然と言う颯人に身を乗り出す。しかし真っ直ぐに見つめてくる颯人の目を見てすぐ冷静になり、姿勢を戻して目を逸らした。
「…碌でもないのは、私の方、で…」
好きでたまらなかった。けれど手が届かなくてどうしようもなくて、最低な選択をした。全て自業自得だ。
今だってそう。自暴自棄になって碌でもない事を続けている。
雫が黙り込みその場に沈黙が流れる。少しして先に動き出したのは颯人で、深くため息を吐いた。
「…前から思ってたけどさ、雫のそういう逃げるとこっていうか…見て見ぬふりするところ、どうかと思うよ」
「え…」
視線を上げて颯人に目を向ければ何食わぬ顔でオムライスを食べ進めていた。
「逃げる…?」
妙に腑に落ちる、当たらずとも遠からずな言葉に聞き返す。颯人は短く返事を返して何口か食事を進めていたが、ふと手を止めて水の入ったグラスに手を伸ばした。
「自分を蔑ろにしているようで自分を守ってるっていうか」
「……」
「俺がいくらやり直そうって言っても聞かなかったし。今も昔も、絶対理由を言おうとしないよね」
「それは…」
「そんな体にされてそれでも庇うってことは、まだその男の事が好きなんだろ?」
颯人の言葉に目を開く。それをどう捉えたのか、颯人は静かに眉を顰めた。
「そいつにちゃんと言ったのか?お前のせいでこうなったんだって」
「……」
「ま、だろうね。雫はさ、本当にこのままでいいと思ってるの?」