それは麻薬のような愛だった

「本当の事を言うならそれで良いし、隠すなら真相を確かめる。情報の行き違いで別れてたならラッキーってくらいのスタンスで発破かけてみるよ」

「…強いね、美波は」

「強いっていうか、ただ単純に無駄な事に時間かけたくないだけだよ」


目標の為に悠長に構えている時間はないと、続けて美波は断言した。


「それに私言ったでしょ?信じ合える人とじゃないと無理だって。信頼するにはまず話し合う!現状から目背けたって現実は変わらないし、相手が何考えてるかなんて聞かなきゃ分かんないじゃん」


そう明るく言い放つ美波には後ろ暗さは無く、本心で言っているように見えた。

そのからりとした笑顔は、雫には酷く眩しいものに見えた。


「…やっぱりすごいよ。なんか美波がかっこよく見える」

「大袈裟〜。だって今ならさ、まだ始まってもないから傷は浅いじゃん?」

「……」

「未来で号泣するより今少し泣いて終わらせる!…あ、私今めっちゃ良い事言った!?これ座右の銘にしようかな〜」


そう言って重くなりかけた空気を吹き飛ばすように笑う美波は、大袈裟でもなんでもなかった。

実際、美波の言葉は今の雫の胸の奥深くまで染み渡ってきた。


颯人からこのままでいいのかと言われ、今更言ってどうなるんだと思った。自分の選んできた間違いは正せないし、この体質が改善するとは思えない。

けれどそうやって逃げ続けるのも、いつか限界はくる。ならば美波の言う通り、傷の浅い今のうちに断ち切っておいた方がいいに決まっている。


伊澄が好きか分からない、今のうちに。

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