それは麻薬のような愛だった

「ったく煩えな。気が向いたら行くから他の奴らにもそう言っとけ」

「!分かった!絶対に来てよ!」


そう言って溌剌と出ていく女生徒を見送る。そして入れ替わりに、今度は制服を規定通りに着用した少女が入ってきた。


「あ、いたいた。雫!」


彼女はこちらに真っ直ぐに向かってくると、目の前に立つと紙袋を机の上に置く。


「まだ残ってて良かった。今作ってるやつなんだけど、ここの模様の付け方分からなくて教えて欲しいの」

「部活の課題のやつ?」

「ううん。彼氏のプレゼントの方。クリスマスまでもうあんまり日にちが無いでしょ?ようやくテストが終わったから一気に進めたいのに行き詰まっちゃって」


そう言って少女は編みかけである手袋とかぎ針を出してくる。またスマホを取り出し動画を再生しながら「ここがよく分からなくて」と画面を指差す。

雫はスマホを借りて少しだけ見ると、おそらくこういうことだろうとかぎ針を毛糸に挿して説明した。それにつれ眉を下げていた少女の顔が晴れ、「なるほど!」と嬉々とした声を上げる。


「さすが雫!ありがとう。これで進められそうだよ。正直先輩達に聞くより雫に聞いた方がわかりやすいからさ」

「まあ手芸部っていっても同好会みたいなものだしね。クリスマスまで頑張って」

「うん。そういや雫もなんか課題ですごいの作ってなかったっけ」

「そんな大層なものじゃないよ。ただのセーターだし」


小学生の頃からビーズや編み物なんかの細かい作業が好きだった雫の腕前は長年の積み重ねにより上級者と呼んでも過言でないものになっており、部活でもそれなりに重宝されている。

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