それは麻薬のような愛だった


出来上がったものはいつも娘を溺愛している父に渡り、思えば趣味になったきっかけもその父が大喜びしたからだったなと思い出す。

同じ部活のその少女は再びお礼を雫に伝えると駆け足で去っていく。それに手を振って見送り、そろそろ自分も帰ろうと雫は立ち上がった。


世間や学校がクリスマス一色で浮き足立っていようと雫には関係ない。サンタというものが来なくなって以降、雫にとって12月25日は母の気合の入った料理と手作りのケーキをただ食べるだけの日だ。

今のものが出来上がったら、そんな母にカーディガンでも作って贈ってみても良いかもしれない。そんなことを考えながら教室を後にしようとすれば、不意に呼び止められた。


「雫」


聞き慣れた声に視線を向ける。丁度通り過ぎようとしたのは伊澄の席で、呼び止められた事に雫は意外そうな目を向けた。


「なに?」

「手伝え」

「え?」


差し出されたのは日誌。それを見て今日の日直が伊澄だったと思い出す。


「いいけど…もう一人の子は?」

「知らね。テスト終わりで浮かれて帰ったんじゃねえの」

「あ、そう…」


よりにもよって一番面倒な仕事を残して帰ってくれたものだ。中身を見れば今日の分は真っ白。日付すら書いていない。

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