それは麻薬のような愛だった
心の何処かで、今の幸せは幻なのかと思っていた。
壊れるほどに愛した人が同じだけの愛を返してくれるなんてそんな都合の良い事が起こり得るはずがないと、期待しないようにしていた。
けれど目の前にある温もりも声も全て、確かに今目の前にある。
「雫…このまま、いいか」
伊澄の余裕のない声と共にあてがわれる熱に、雫はゆっくりと体を仰向けに戻す。恥じらいながら小さく頷けば伊澄の体が沈み、重みと同時に中へ反り立つものが押し進められていく。
ぐずぐずに溶かされた中は容易に侵入を赦し、最奥に押し付けられると雫の開いた口から勝手に音が漏れた。
それを皮切りに伊澄の体がゆるやかに動き、突かれるたびに弾ける快感が雫を襲う。
「あっあッ…ぁ、んっ…」
何度も達して敏感になった体はいつもより何倍にも快楽を拾い、雫の喉からいつもに増して一層甘い嬌声が落ちる。それに比例してその意思とは関係なく強まる締め付けに、伊澄は必死に耐えていた。
にも関わらず、追い討ちをかけるかのように雫の肢体がねだるように伊澄の身体に絡み、伊澄の唇を追いかけた。
「んっ、ぅ、いっちゃ、…っ」
「…ッ、雫…?」
「…も、い…から、…ゆっくり、やだぁ…ッ」
こんなの耐えられない。雫の甘えた声が発せられると同時、その目から涙がほろりと落ちた。
甘イキを繰り返していた雫の全身は小刻みに震えており、伊澄を見つめる瞳からは理性が消え失せていた。
雫から何を求められているか咄嗟に理解した伊澄は、己の内側からぐんと競り上がる欲情を感じた。
「!お前…ッ」
「いっちゃん、お願い…っ」
白に染まる頭の中で、雫はどこか既視感のようなものを感じていた。記憶に無いはずなのに、伊澄に泣いて縋った過去があるような、そんな気がしていた。
瞬間、伊澄から喰らうようなキスが落とされる。律動は速さを増し、肌を打ちつける衝撃は一層強まった。