それは麻薬のような愛だった
「お前、こんな時間に何やってんだ」
こんな時間とはいえ、まだ19時前である。雫は手にしていたチョコレート菓子をぽきりと折り、いっちゃんこそ、と答えになっていない返事を返した。
「俺は自習帰りだ。最近日が短くなってきてんだから早よ帰れ」
「私だって帰宅途中だよ。夜ご飯の材料買ってたの」
「お前が作んの?」
「うん。今日お母さん夜勤なんだ」
そう言い、隣に並んできた伊澄にエコバッグの中身を開いて見せる。伊澄はそれをチラリと見やると「菓子ばっかじゃねえか」と小言を漏らした。
「お腹空いてたらさ、つい余計なもの買っちゃうよね」
照れたように笑いながら言い、雫はチョコレートのファミリーパックの大袋の中から3つほどつかみ取ってそれを伊澄へ差し出した。
「これあげる。勉強には糖分大事でしょ」
「…お気遣いドーモ」
伊澄は素直に受け取るとそのままそのひとつを袋から取り出してひと口で食べた。夕食前って小腹空いちゃうよねと雫が話しかければ、伊澄はそれに答える事なく残りを懐へと仕舞い込んだ。
そして視線は前に向けたまま不意に言った。