それは麻薬のような愛だった
「私も似たようなもの。それにしても、随分と遅くまで学校に残ってるんだね」
「家だと集中できねえんだよ」
「確かに。誘惑多いよね」
笑いながら言ってカレーをスプーンで掬い、雫は再び伊澄へ問いかける。
「そういえば、中辛で良かった?うちいつも辛さもルウもこれなんだけど…」
「特にこだわり無いし、普通に美味い」
「…そっか、良かった」
「ま、カレーを不味く作る方が難しいけどな」
「ひと言余計だよ」
それがなければときめいたのに。そのまま言えば伊澄は手を止め、視線を上げた。
「なに?」
「…別に」
何か言いたいことがあったんじゃないかとは思ったが、聞いたところで返ってこない事も分かったので敢えて追い討ちはかけなかった。
音のない部屋に静寂が落ちる。伊澄が自宅にいる事なんて別に珍しくもないのに、食事をしているだけでどうしてこうも緊張するのか。
体を重ねている時の方が、よっぽど恥ずかしい事をしている。
「…ご馳走様」
いつのまにか伊澄は食べ終えており、おかわりが必要かと聞けば「いらねえ」と返された。