それは麻薬のような愛だった


「満腹になったら眠くなる」

「そっか、確かにそうだね」


ストイックな伊澄らしい。伊澄は食器を持って立ち上がるとシンクへと運び洗い物を始めた。


「置いておいてくれていいよ?」

「さすがに飯食わせてもらっておいて何もしねえわけにはいかねえよ。対価だ、対価」

「あ…じゃあ、ありがとう」


伊澄が洗い物をしてくれている間に雫もようやく食べ終わり、空になった皿を持って伊澄の隣へ並ぶ。伊澄はそれを無言で受け取り、一緒に洗ってくれた。

乾燥は食洗機に任せるので綺麗になった皿をそこに詰め、乾燥ボタンを押す。水の残るキッチン台を吹き上げながら、雫は隣で手を拭く伊澄に声をかける。


「いっちゃん、手伝いありがとう。どうする?アイスでも食べる?それかもう帰…」

「雫、」


名前を呼ぶと同時に伊澄の顔が寄り、唇が重なる。背中に回ってくる手に雫は肩を震わせ、伊澄を押し返した。


「いっちゃん…ダメだよ」

「……」

「お父さん…帰ってくるから、」

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