それは麻薬のような愛だった
「それでさ〜彼氏がさ〜」
「もう惚気はいいって。誰かこの酔っ払い外に連れ出してくれない?」
彼氏との幸せエピソードを延々と話し雑に扱われる友人を眺めながら、雫は食事に舌鼓を打っていた。
惚気を話す友人は既に出来上がっており、内一人にだる絡みしている。
「私、ちょっとお水貰ってくるよ」
「あ、ズルい!ちょっと雫、そのまま逃げないでよ?」
「あはは、ちゃんと戻ってくるって」
牽制されながらその輪を後にし、飲み物の並べられるスペースに向かう。ミネラルウォーターの入ったコップを2つ手に取ると、ほど近い距離にいた人だかりの話し声が耳に入った。
「伊澄〜!今どこ住んでんの?今度遊びに行ってもいい?」
「教えねー。つか来んな鬱陶しい」
「相変わらずつれないなあ。じゃあ一緒に遊びにいこーよ。今からでもいいよ?」
「ちょっと、こんな堂々とお持ち帰り宣言しないでくれる?」
その言葉にどっと笑いが起きる。
この光景も久しぶりだなあと感心しながらグラスをひとつを腕に挟み、雫は自身の友人の輪に戻る。
きちんと戻ってきた雫に明らかに安心した表情を見せる友人に変わるよと言って場所を交代した。
「ごめん雫、お手洗い行ってきていい?」
「いいよ。いってらっしゃい」
すぐ間戻るからと言ってかけていく姿を見送り、へべれけになって自身によりかかる友人に雫はグラスを手渡した。