それは麻薬のような愛だった
また嘘をついた。
家に殆ど帰らなかったのは、何となく嫌だったからだ。
伊澄の家でだけでなく、何度も雫の部屋でも身体を重ねてきた。家に帰るとどうしてもそれを思い出してしまうから、出来るだけ距離を置きたかった。
もちろん、大学が楽しいのも本音だがやはり大きな理由はそちらだ。
「……」
見慣れた景色の中、中学の夏の日に立ち寄ったコンビニが見えてくる。その後すぐに雫達の家の並ぶ通りに入ると、ふと大事な事を思い出した。
「そういえば、話ってなに?」
伊澄の方から切り出してくるかと思いきや結局何も言ってこない。帰省をしないという話がしたかった訳でもないだろうに。
雫の問いに伊澄は直ぐには答えなかった。
どうしたものかと悩んでいるうちに気付けば車は雫の自宅前に着いてしまった。
このまま降りてもいたのだろうかと迷っていると、伊澄が重い口を開いた。
「雫、お前あっちに戻るのはいつだ」
「…明々後日…昼出発の予定だけど…」
…ああそうか。なんとなく話が見えてきた。