それは麻薬のような愛だった
肩にかかったブランケットを軽く握りながら、雫は隣に立つ伊澄に話しかける。
「今日はどうするの?もう帰る?」
「朝飯食ったら帰る」
「分かった」
「座って待ってろ」
二人で朝を迎えた時の朝食を用意するのは雫より料理の上手い伊澄の役目となっており、これ幸いと甘えさせてもらっている。
ソファーに腰を下ろし、スマホを手に取りながら今日はこの後どうしようかとあれこれ考える。
家でのんびりとサブスクの映画を観るか、それとも外に出て同僚から聞いたお洒落なカフェに行ってもいい。秋服も欲しいからショッピングも有りだ。
スマホを操作しながらSNSを開き知り合いの近況を流し見していると、最近頻度が多くなってきたなと思うのが結婚に関する話題。
もう既に結婚している友人もいるし、プロポーズをされたと幸せな笑顔を載せている友人もいる。
26ともなれば、結婚ブームに入ったといっても過言ではない。
それらを眺めながら、雫はふと思う。先程自分は願望が無いと答えたが、伊澄はどうなのだろう。
今日もすぐに帰るというからには他に女か、はたまた本命がいるのかもしれないが一切知らないし、興味もない。
が、伊澄が結婚するとなれば話は別だ。
倫理的にも良くないし、慰謝料なんかを請求されるのは普通に嫌だ。
まあ弁護士という立場上、伊澄もそうなれば今の関係は清算するだろう。
その時が自分達の本当の最後になる。それだけだ。