それは麻薬のような愛だった
そして翌週。
最近は暖冬などと言われてはいるが、12月の朝は普通に寒い。それが早朝とあらば尚更である。
繁忙期の1週間はまさに光陰矢の如しだ。あっと言う間に過ぎ去り、雫は言われた通り約束の日の前日の夜から伊澄の自宅に泊まりにきていた。
アラームの音で目を覚まし、布団から出るや否や襲いかかる冷たい空気に体を震わせた。
「…さむ、」
休みの日に早起きなど普段なら絶対にしないが、遊びに行くとなると嫌な気分にならないのだから不思議だ。
伊澄の家の間取りは雫のマンションのワンルームと異なり1LDKで、寝室はリビングとは別になる。その部屋のドアを開け、洗面所で軽く身支度を整えてリビングに戻れば伊澄も目を覚ましていた。
そんな伊澄は雫を見ると抱き締めてきた。
「おはよういっちゃん。私で暖をとるのやめてくれる?」
「…寒いんだよ」
ならば暖房をつければいいのにとは言わない。生暖かい風が顔に当たる感覚が嫌いなのだそうだ。
セラミックヒーターを置いてはいるものの、広い部屋を温めるのにはそれなりに時間がかかる為、冬になると伊澄はいつもこんな感じだ。
それでも少しの間待てば自然と離れるので静かに待っていると、案の定数分ほどの後ゆっくりと体を離して伊澄は洗面所へと向かった。