それは麻薬のような愛だった
パーク内はクリスマス直前という事もあり赤と緑で溢れかえっていた。
大きなクリスマスツリーも飾られ、その前では何人もがカメラを掲げて笑顔を見せている。そしてパークロードを歩くキャラクター達もまた、サンタクロースをイメージした服で彩られていた。
「パレードは10時からだって。観に行ってもいい?」
「ああ」
パンフレットを眺めながら聞けば了承が返され、その他のアトラクションも確認する。
開園と共に入場したがクリスマス前の休日ともありどこも待ち時間は長く、人気の乗り物はまず100分は下らない。かといって可愛らしいメリーゴーランドなどの乗り物に虚無顔の伊澄と乗るのはまずご遠慮願いたい。
クリスマス限定のキャラクターショーもあるが抽選で当然ながら倍率が高い。運のない自分ではどうせ当たりはしないだろうと半ば諦めかけ、ふと思い留まる。
いるじゃないか、こういうのにぴったりな適任が。
「…なんだよ」
ゆっくりと伊澄を見上げれば視線が合い、不思議そうに雫を見る。そんな伊澄に雫は両手で握ったスマホを口元まで持ってきて、ゆるやかな口調で尋ねた。
「いっちゃん。私のお願い…聞いてくれる?」
「…は?」