それは麻薬のような愛だった
呆ける伊澄に雫はにこりと微笑み、自身のスマホを手渡した。
「私このイベント限定のショーが観たいの。いっちゃんくじ運強いでしょ?私の分もエントリーしてくれないかな?」
「……」
伊澄はしばらく固まり無言を貫いていたが、雫からスマホを受け取った。
最近のショーはネット上での抽選で決まるらしく、パーク内に入って指定の時間までに申し込むと当選か否かは比較的すぐに発表されるらしい。
便利な時代になったなと思いを馳せて結果を待つ。伊澄は雫のスマホを片手で操作し、しばらく画面を見つめた後、それをおもむろに差し戻してきた。
「ほらよ」
どっちだろうと久しぶりにドキドキとしながら伊澄の手からスマホを受け取る。そしてその画面には「当選」の2文字が浮かび上がっていた。
「!」
途端に雫は顔を上げ、その大きな瞳は爛々と輝いていた。
「すごいよいっちゃん!私当たったの初めて!」
「…へー…」
「これすごく倍率高いんだよ?やったあ!」
改めて画面を見ると当選したショーのQRコードが表示されており、間違いなく現実なのだと実感する。