それは麻薬のような愛だった
刹那、強い風が吹き抜けた。
寒さは未だ止まるところを知らず、分厚いカーディガンを羽織ってはいるがそれでも冷える。まだ外に出て数分しか経っていないのに、既に手は氷のように冷えきっていた。
これは長居できないなと早々に諦め灰皿へ煙草を押し付けたところ、中から伊澄が出てきた。
「寒いから開けない方がいいよ、いっちゃん」
伊澄に視線を向けぬまま、きちんと火が消えたことを確認する。
「私ももう戻るし、部屋の中で待って…」
言葉尻を待たずして抱きすくめられ、そのまま唇を塞がれた。
「んっ…」
苦いから嫌いなんじゃなかったっけ。そう思いつつ抵抗するでもなく受け入れていると、伊澄の体が微かに震えているのに気付いた。
寒いならば中に入ればいいのに。そう思って押し返し体を離す。
「中入ろうよ。寒いし」
「…雫、」
「なあに?」
早く中で暖まりたい。そんな事を思いながら聞き返した。