それは麻薬のような愛だった
美波曰くの異業種交流会の会場は駅近のビルの高層階にある雰囲気の良いダイニングバーで、美波と共に入った雫はその個室に通された。
人数は男女共に4人ずつで、女性メンバーは美波以外は知らない顔ぶれだったが事前に美波が事情を説明していたのか快く迎え入れられた。
「美波が強引に誘ったんでしょ?突然ごめんね、杜川さん」
「ちょっと言い掛かり!私の苦労も汲んでよ。この子引っ張ってくるのにどれだけの犠牲を払ったか…」
文句を垂れる美波を華麗にスルーして一応形だけ「お誘いありがとうございます」と返して誘導された席に着く。
対する男性陣は雫は知らないが美波が受け持つ会社の取引先の面々で、こちらも人の良い笑顔を向けてきていた。
各々が席についたところで食事会は開始となり、普段ならば一杯目からハイボールをかっ喰らう雫だが周りの女性陣に合わせて空気を読み、果実酒のソーダ割りを頼んだ。
「じゃあまず自己紹介から」
幹事であろう男性がそう言い、順番に名乗っていく。最後に回ってきた雫も漏れなく名乗り、美波と同じ会社の同僚である事と、趣味や出身地などの無難な情報を伝えた。
時短の為にコース料理が頼まれていたらしく、テーブルに食事が並べられたところで歓談が始まる。
「杜川雫さん、だっけ。気軽に雫ちゃんって呼んでいい?」
前菜に手を伸ばしていた雫は、目の前の男に声をかけられた。