それは麻薬のような愛だった
「仕事の時から思ってたけど、美波ちゃんは周りの事よく見てて、気の利くいい子だね」
そんな山中の言葉に美波の頬が微かに染まる。
「そうですか?そう思ってもらえてたなんて嬉しいな」
「……」
美波の顔を見ていた目を山中へと移動させ、なるほどと雫は腑に落ちるものを感じた。
美波は山中が気になっているのだろうと察し、これは身の振り方を考えねばと思い直す。
誰とも交際する気のない雫が美波の気になっている男を囲う訳にはいかない。かと言ってテーブルの端に座っている為なかなか他のメンバーとも関わりづらい。
そうして至る結論はひとつ。
壁の花になる事だ。
ほどほどに空気を悪くしないようにしつつ、ただその場にいるだけの女になり密かに料理とお酒を楽しむ。
ぱっとテーブルを見た限り矢印はそこかしこに向いていて、それを酒の肴に飲むだけでも十分楽しめそうだった。
まるで恋愛リアリティショーでも眺めている感覚を覚えながら、雫は運ばれてきたブランデーの水割りに手を伸ばした。