それは麻薬のような愛だった
途中で席替えが行われ、美波と山中は隣同士に座った。雫は変わらず端に座り、その隣には山中の後輩だという男性が腰掛けた。
「雫ちゃん、料理取れる?さっき食ったけどここの肉美味かったよ」
「そうなんですね。じゃあ食べてみたいので取ってもらえますか?少し遠くて」
「オッケー。パスタも食べる?」
「欲しいです。ありがとうございます」
隣に座った男は同じ年らしく、にこにこと愛想の良い好青年だった。聞けば営業部に在籍していると聞き、だろうなと納得する。
今の配置になるや否や男は雫の趣味だと言った手芸の話を持ち出し、雫がパークのキャラクターを着せ替えるのが好きだと言うと思いの外食いついてきた。
「俺も遊園地好きだよ!たまに友達とかと行くけど、パーク内でぬいぐるみ連れてすごい衣装着せてる子とか居るよな。雫ちゃんのもそんな感じ?」
「そうですね。季節毎に変えてて…だいぶ時期が過ぎちゃったんですけど、今はひな祭りの衣装着せてます」
「へえ!見てみたいかも」
「写真ありますよ」
見ます?と聞くと了承が返ってきたのでスマホを開く。そこで目にした不在着信の量に目を剥いた。
「どうしたの?」
「え?あ、いえ!なんでもないです!」
すぐに画面を消し、写真フォルダを開いて見せる。画面を2人で覗き込みながら、雫はドキドキと心臓を鳴らしていた。